夢を形に!私の思いは翼に変わった

希少難病遠位型ミオパチーの女性 ダイビングCカード取得へ

aki7月7日は七夕。全国各地で賑やかなイベントが催された前日一人の女性が夢を形にするためにダイビングCカード取得にチャレンジした。

希少難病患者で遠位型ミオパチー(胸・腰など『駆幹』や上腕・大腿部など『躯幹』から離れた部位から筋肉が萎縮していく病気。)疾患の彼女がなぜ今困難な海に自らの身を投じチャレンジしたのだろうか?どのようにして彼女がCカードを取得したのか?

HSAJAPAN主催のダイビング講習会が静岡県伊東市で7月3日から5日まで行われた。

呼吸音しかない静寂の中に見えた海の世界は、写真やテレビで垣間見たものとは比べ物にならない世界だった。

昔からずっと憧れだった海の中の世界。病気を患ってから一時は諦めかけた。ハンディキャップダイバーのサポートをする専門技術をもった方がいることを知り、私でもできるのかも知れないと思えたときは感動しました。「潜れるかも」という思いはやがて、「世界中の海に潜ってみたい」という大きな野望へと膨らんでいき、それなら「ライセンスがいる!」と、気がつけば自分の中で勝手に構想が出来上がっていました(笑)

とはいうものの、いざチャレンジする時には、本当に呼吸がきちんとできるのか、耳抜きができるのか、など不安もありました。

でもそこで私の気持ちに寄り添ってくださったのが、Dive Buddyやインストラクターの皆様でした。私の不安を見逃さず、そして決して焦らせることなく、私自身のペースに合わせ、時間をかけてくださったお陰で、気持ちがパニックになる前に、自分で冷静さを保てるようになりました。

そうして水中の環境に慣れていくことができると、呼吸も耳抜きも、自然と不安ではなくなり、無意識のうちに無重力の感覚に酔いしれてる自分がいたのです。あれほど憧れていた世界は、私の想像を遥かに超えていました。陸上では決して感じることのない浮遊感は、私を果てしない自由へと解き放ってくれ、いつまでも続いて欲しいと願わずにはいられませんでした。

Safe Scuba System 」が世界を変える!

スクーバダイビングを経験した事のある人は筋力のない手先のみしか自由がきかない中岡さんがなぜダイビングが出来てCカードが取得できたのか少し疑問に感じる方もいるのではないだろうか?Print

HSAJAPANが2016年より本格的に取組んでいる新しいダイビングスタイルS.S.Sセーフスクーバシステム」をご存知だろうか?S.S.Sはフルフェイスマスクをもち入りタンクはサポートダイバーが基本的にサイドにホールドする。S.S.Sマスクは口の麻痺が強い方、呼吸が不安な方などが主に使用する。また水面散歩用にはスノーケルとタンクからのフリーフローでエアーが供給できるため通常のマスクやスノーケル単体よりより安全に水面散歩が楽しめ、身体障がいだけでなく、知的障がいの方にも対応が広がった。

 私にとってチャレンジの安心材料になったのは、「セーフスクーバシステム」というタンクを背負わず、フルフェイスマスクを使用する手法があったこともその1つです。これなら体や呼吸のストレスも少なく済むと思ってやってみたのですが、本当にその通りでした!と中岡さんは話す。

SSSはタンクを背負わずに海を楽しめたり、フルフェイスを利用したり今までのダイビングスタイルとは違いますが、手段、手法を変える事で中岡さんの様な重度疾患があっても海を楽しめる事ができます(HSA JAPAN 高野修代表)

HSA セーフスクーバシステムが世界に先駆けてスタート

今回中岡さんの講習を担当したのは2名のHSAインストラクターとダイブバディー。コースディレクションはこれまでに700名近く障がい者ダイバーを育成したHSAJAPANディレクターの太田樹男氏が担当。インストラクターは伏見典子氏(I-3871)佐々木正氏(I-3870)

ーコースを開催することで大変だった事は

(太田)事前にSSシステムについてスタッフ間でワークショップを開催したり障がい者のシュミレーションを行いましたが実際亜希さんご本人にお会いして思ったより症状が重度でしたのでマスク自体の重さに耐えられるのかなどの疑問はありました。しかし実際にプール講習を行ってみると陸上では重力によって支えきれない首が水圧と浮力の関係なのか座位のスタイルが取れ非常に安定した形でのダイビングが出来ました。

全体としては着替えやトランス、移動など我々ダイビングスタッフではできない部分をボランティアさんが支援していただきスムーズに講習が進行しました。

ースリーエスを使うことで技術的な部分ではどうでしたか?

(伏見)世界に先駆けて日本で初めてスタートしたスリーエスを使用しての講習のためスタッフ勉強会も参加させていただき知識をつけて行いました。実際にやってみるとマスクの位置がずれてしまったり、耳抜きを行う鼻当てがうまく合わないなどがありましたが微調整を重ねていくうちに慣れてきました。サポート側の少しの力加減などで不安にさせてしまう事もあるので常に細心の注意と笑顔で対応していました(笑)

ー中岡さんのような障がいのある方のCカード講習経験は?

(佐々木)私も10年前から障がい者の方のダイビングをサポートしてきましたが同じ疾患の方のダイビング認定は過去も聞いた事もありませんでした。以前太田ディレクターが体験ダイビングをやっていたのでワークショップではその方を参考に行いましたが中岡さんはその方よりもさらに進行されていて現場での修正対応が必要でした。同じ障害名であってもその方々で全く状態が違うために相当数な経験を要する事が必要だと痛感いたしました。

SSシステムは重度障害であっても呼吸器系などが問題がない方に提供できる安全で快適なHSAJAPANが開発したダイビングシステムです。

今回Cカードを取得した中岡さんはタンクを背負っておらず体に余計な負担がありません。

マスク越しに会話することもでき緊急時でも安心できます。